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精神病理学は精神科医の骨格

先日、5年目の柴田先生が後輩の先生達に精神病理学の本を紹介してくれました。「症例でわかる精神病理学」(松本卓也著・誠信書房)。僕も知らない本だったのですがAmazonで調べてみると、統合失調症、うつ病、双極性障害、神経症から自閉症まで、代表的な精神疾患の病理学を1冊にまとめた入門書のようです。精神病理学のプロの先生が初学者のために書き下ろしたもので、面白そうでした。早速、医局の共通図書費で1冊購入することにしました。
近年DSM、ICDなどの操作的診断基準や、精神科薬理学に押され気味ですが、「精神病理学」はやはり、精神科医の専門性を支える「骨格」だと思います。患者さんのナラティブな訴えを、精神医学の専門家として、構造的にどう捉えなおすのか?過去の偉大な先人たちが、様々な視点から診断体系を作り上げてきました。「この人の訴える憂うつは内因性の抑うつ気分を呈しているのか?」「頭の中に声が聴こえると言った場合に、それは統合失調症の幻聴なのか?PTSDのフラッシュバックなのか?はたまた解離性障がいの別人格の言葉なのか?」等、日ごろの臨床で浮かぶ疑問の答えは精神病理学の中にあります。音楽家が楽典理論に、システムエンジニアがプログラミング言語に、外科医が解剖学的知識に精通していなければ務まらないように、精神科医の専門性を支える骨格は精神病理学の中にあります。その専門性があってこそ、支持、共感、傾聴などの基本的な姿勢が活きてきます。僕も若い頃から精神病理学の良書にずいぶんと助けられました。ある程度臨床経験を積んだ上で理論に触れると、ハッと目を開かされることがあります。著者が直接自分に語り掛けてきてくれるように感じることもありました。
若手の先生たちには、是非担当した患者さんを一例一例丁寧に診ていって欲しいですし、そのために必要な基礎知識をコツコツと学んでいって欲しいと思います。座学と実学の絡み合いで、臨床家は成長していくんだと思います。

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸


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