福間病院 福間病院精神科
専門研修プログラム

医療法人恵愛会福間病院

臨床研修センターだより

誰も叱ってくれない

CADPに続けて、東京で開かれた厚生労働省のCBT(認知行動療法)研修事業のブラッシュアップワークショップに参加してきました。
2年前の夏に「精神療法をきちんと学んだことがないまま中堅になっちゃったなぁ」と反省してこの事業に申し込みました。2日間の事前セミナーと16回のCBTスーパービジョン、そしてこの1日間のブラッシュアップワークショップでひとまとまりです。これを受けたら認知行動療法の保険点数がとれる治療者になります。この研修のメインは何と言っても16回のスーパービジョン。うつ病の症例を1回50分×16回の構造化されたセッションで、じっくりと治療していきます。普段の診療でこれだけ深く治療する事はまず無いですし、その面接を録音したものを毎回聞き直し、橋渡しシートにまとめを作成して、スーパーバイザーの先生から毎回オンラインでこれまた1時間程の指導を受けるという一連の流れ×16回。自分の面接のクセ、偏り、技術不足を客観的にしっかりと見直して鍛えなおす、本当に良い研修です。「それだけみっちりやれば治るかもしれないが、普段の臨床では1人に50分なんてかけられないじゃないか!」とのツッコミが入ると思うのですが、一つの症例をしっかり深く学ぶと、普段の臨床スキルも変わってくるんですよ。ホントに・・。
最初のうちは自分の診察の録音を聴くのもこっぱずかしいです。「上手く出来てないなぁ」と頭を抱える事も度々です。でもそれが実際の自分の診察なんですよね・・。そしてスーパーバイザーの先生から、「愛あるダメ出し」を毎回もらうので、何度も目からうろこです。耳が痛いですが、だんだんとクセになります。「もっとダメ出してください!」って(ドM)(*´Д`)。
正直、中堅どころになると普段「誰も叱ってくれない」んですよね・・。指摘してもらえる環境は自分から探していかないと見つからないんです。しかもこれだけの手厚い指導が受けられて、お金は全くかからない。1回2万円のスーパービジョン代金は全て厚労省の研修事業から出るという・・。もはやCBT研修事業しかかたん(*´Д`)。
修了書をもらう気分で研修に参加して、スーパービジョンをやり遂げた全国の同志たちと体験を共有しました。学び続けるとバーンアウトは防げる。何度も言うけど資格とるのが1~2年遅れたって大差ないんです。その後が大事。燃え尽きないために少し遠回りしてでも色んなところに種を蒔いておきましょう。CBTに少しでも興味のある若手の先生方は、僕なんかよりももっと早い年数のウチに是非!

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸

世界は遠くない


先週末に姫路で開かれたCADP(Course for Academic Development of Psychiatrists 精神科医の学術発展のための集中コース)に参加してきました。
CADPは世界精神医学会の元会長のNorman Sartorius先生が若手精神科医のために開いてくれているワークショップです。僕のような一勤務医がお近づきになれない先生のはずですが、サルトリウス先生は若手の育成に情熱を注いでいて、JYPO(Japan Young Psychiatrists Organization 日本若手精神科医の会)と深い親交があり、毎年来日して濃密な3日間のワークショップを開いてくれています。で、この先生が物凄く博識な「知の巨人」で且つ、情熱と愛情に溢れた先生なんです(そんな人いるのか?と思うかもしれんけど、そういう人です)。僕は14年前に参加して以来、JYPO卒業後もOBとして参加させてもらっているのですが、今年も大きな元気をもらいました。主催の北岡先生、清水先生、錫谷先生の献身的な支えで実りの多いワークショップになりました。この場を借りてお礼を申し上げます。
そしていつもながら、参加者の先生方の活き活きとした表情が印象的でした。僕たちは日本の一精神科医に過ぎませんが、CADPに参加すると「世界はそんなに遠くないな」と感じます。3日間英語のワークショップなので、研修で忙しい専攻医の先生たちは尻ごみしがちですが、たどたどしい語学力でも飛び込む勇気さえあれば何とかなります(気合7割、語学力3割くらいの比率)。自分の世界を広げるために是非参加して欲しいです。ちなみに福間病院の専攻医の先生には参加費もろもろ全て援助します。

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸

祝・合格!!!

忙しくて去年の9月以降投稿をサボっていました。
日韓研修会とか、連携病院への見学とか、認知行動療法の勉強とか、色々書きたい事はあったのですが・・。
でも今回は投稿せずにはいられません。当院での研修を修了したS先生がこの度、晴れて専門医試験に合格しました!!おめでとう!!!(´▽`*)
精神科医に限らず医者って生涯学習の職業なので、まぁここからがスタートとなんですけど、そうはいっても嬉しいもんは嬉しいです。
当院で育った先生がオフィシャルに一人前と認められた♪ってことで、帰りのコンビニでいつもより高いビール買って密かに乾杯しました。
今は4年目の先生たちが専門医レポートを少しずつ書き溜めています。
君らも先輩に続け~~(/・ω・)/。

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸

CADPに参加しましょう

日本若手精神科医の会が主催するCADP(Course for Academic Development of Psychiatrists)の募集が開始されました。チャレンジングな会ですが、非常によく構成された会で、精神科医としてアカデミック、国際交流の力をつけるにはもってこいです。
僕も過去4回参加して、ここでの経験は自分を確実に成長させてくれました。若いうちに視野をグイッと広げておくと、中年になってからもバーンアウトせずに、色々な活動を継続していけるように思います。(※精神科医として若いうちの課題:一人前になること 中年になってからの課題:燃え尽きないこと)若手の先生方は是非積極的に参加して下さい。

The 21st CADP(2024年3月8-10日)参加者募集開始のお知らせ | JYPO

※日本若手精神科医の会(JYPO)は日本全国の大学病院、民間病院の若手精神科医有志で運営する認定NPO法人です。日本精神神経学会(JSPN)とも連携して、色々な企画、活動を請け負っています。若手精神科医主催の研修会や共同研究、交流会等を通して、全国の大学病院や各施設の若手の先生たちと知り合いになり、つながりが出来る格好の場です。詳しくはJYPOのホームページをご覧ください。

認定特定非営利活動法人 日本若手精神科医の会 | Japan Young Psychiatrists Organization (jypo.or.jp)

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸

EGUIDE講習を受けてみた ~「実地」と「標準」~

おくればせながらEGUIDEのWEB講習を受けてみました。EGUIDEは日本の精神科医療にきちんとしたガイドラインに沿った治療が普及するようになされている取り組みです。
EGUIDE (ncnp.go.jp)
日々臨床をしていてふと、今自分が提供している医療は自分自身の価値観や職場の治療文化に偏ってしまっていないだろうか?と不安になることがあります。「現場でのリアルワールドに即した治療」と「エビデンスにのっとった標準化された治療」とのはざまで、常にバランスを取り続ける必要があるのですが、民間病院で勤務している精神科医は前者に偏りがちで、学会やEGUIDEのような研修会に参加して、「標準」や「現在のトレンド」に触れ続けるのが良いと思います。
若手の先生たちにも「実地」も「標準」も是非学んでもらいたいので、受講費は臨床研修センターの予算で補填して受講してもらいました。そういえば自分も受けたことないなと、自分も受けてきました。そしてすごく勉強になりました。講師の先生方がガイドラインの要点を短時間でポイントを押さえて喋ってくれて、午後は症例に基づいたグループディスカッションでした。自らの臨床を振り返って、自分が見落としがちなポイントはどこなのかがクリアになりましたし、他施設の先生方とディスカッションするのは楽しかったです。
臨床研修センターではこのほかにもECTの講習会など、若手が無料で受けられるようにサポートをしています。若手もベテランも病院の内外でどんどん学びましょ~。

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸

家族相談会を始めます

8月から統合失調症患者さんのご家族向けに家族相談会を再開します。統合失調症の患者さんを日々支えるご家族の苦労や心配は大変なもので、ご本人を支えるご家族も、誰かに支えられる必要があります。専門職であるスタッフと役に立つ情報を共有したり、家族同士で悩みや工夫を分かち合ったりする場が必要で、そのための機会を2010年から毎年、家族相談会を通して提供してきました。コロナのためこの3年間、開催できずにいたのですが、やっと再開出来る事になりました。多職種チームでの協働、家族との協働も精神科医として大事な取り組みです。
現在、医師、看護師、公認心理士、OT、PSWの多職種チームで開催に向けて準備の真っ最中です。今年度は7家族11名のご家族と4人のスタッフで、7回にわたって心理教育的グループワークを行っていく予定です。
専攻医の先生たちは救急病棟での業務が忙しいため直接は関われませんが、ゆくゆくはメンバーとして参加出来るように体制を整えられたらいいなと思っています。普段の臨床以外にも活動の幅を広げていくと、自分の中に引き出しがたくさん出来ますので。

福間病院 臨床研修センター長
鈴木 宗幸